水生植物の育成方法

水生植物は、形態によって、沈水植物、抽水植物、浮遊植物、浮葉植物の大きく4つに分かれます。
同じ種でも水深やステージによって形態が異なる場合もしばしばあります。

ここでは、代表的な種について特徴や栽培のポイントを簡単に記します。
ここに挙げているものは、いずれも静岡県の平野部では通年屋外での栽培・越冬が可能な植物です。


スイレン科(Nymphaea tetragona水生植物の育成方法

種子からの1年目は水深を5cm程度で浅く保ち、夏の水温上昇に注意します。
木漏れ日の当たるような環境が好ましいです。

2年目以降は水温上昇にもある程度耐えられるようになります。
水深は20cm程度がよいでしょう。
他のスイレンとは異なり、根茎での増殖はしません。
冬は根茎のみになりますが、株分かれしないため、春に植え替えずに追肥のみでの育成も可能です。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。
花上がりは良いほうで、環境が良ければ毎日のように花を見ることができます。

Nymphaea sp. 'Almost Black'水生植物の育成方法

深紅の花が美しい温帯スイレンで、根茎の伸びは中程度です。
濃い花色のため、夏の強烈な直射日光下では、花弁が焦げることがあります。
花上がりは温帯スイレンの中では普通です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Wanvisa'水生植物の育成方法

斑入りの花弁が美しい温帯スイレンで、ときに黄色とオレンジに分かれるキメラ咲きをします。
根茎の伸びは少ないく、花上がりは温帯スイレンの中では良いほうです。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Marliacea Chromatella'水生植物の育成方法

黄色でカップ咲きをする温帯スイレンです。
根茎の伸びは少なく、花上がりは温帯スイレンの中では良いほうです。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Independence'水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Tina'水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Janice'水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Islamorada'水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 水生植物の育成方法

熱帯スイレン。ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
花上がりはよく、シーズン中はほぼ毎日花を見られます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 水生植物の育成方法

熱帯スイレン。非ムカゴ種。
寒さに比較的強く、年に数度氷が張る程度の地域であれば、そのまま屋外で越冬させられます。
シーズンはじめの花上がりはよいですが、後半は勢いが落ちます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Plum Crazy'水生植物の育成方法

熱帯スイレン。非ムカゴ種。
とても派手な花を咲かせます。
大型のスイレンで、大きな容器で育てると、葉の直径が30cmを超えます。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深はやや深めの30cm程度が好ましいですが、5~60cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'JoannePring'水生植物の育成方法

小さく育てられる姫スイレンです。
ヒツジグサと同程度の葉・花をつけます。
 

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Queen Sirikit'水生植物の育成方法

熱帯スイレンと温帯スイレンの交配種。性質は温帯スイレンに準じます。
根茎の伸びは少なく、花上がりは温帯スイレンの中ではあまりよくありません。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Manee Red'水生植物の育成方法

鮮やかな赤色が特徴的な温帯スイレンで、根茎の伸びは中程度です。
花上がりは温帯スイレンの中では普通です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Gregg's Orange Beauty'水生植物の育成方法

花弁のグラデーションが美しい温帯スイレンです。
花上がりは温帯スイレンの中では普通です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Blushing Bride'水生植物の育成方法

花弁のグラデーションが美しい温帯スイレンです。
花上がりは温帯スイレンの中では普通です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Pink Dawn'水生植物の育成方法

ピンクと白が様々な混ざり方をして咲く温帯スイレンで、根茎はよく伸びます。
花上がりは温帯スイレンの中では普通~やや良い方です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

Nymphaea sp. 'Wow!'水生植物の育成方法

蛍光ピンクの花が目を引く温帯スイレンです。
根茎がとてもよく伸びるため、大きめの鉢や長いプランターでの栽培がよいでしょう。
花上がりは温帯スイレンの中では普通です。

一般的なスイレンと同様に根が混み合ってきたら秋~春に株分けをし、5~9月頃まで月に一度追肥を行います。
水深は20cm程度が好ましいですが、5~40cm程度であれば問題なく生育・開花します。
開花には直射日光の当たる環境が必要です。

カヤツリグサ科(Rhynchospora colorata水生植物の育成方法

水深は0~10cm程度で、腰水栽培も可能です。
ランナーを伸ばして増え、夏に長い期間花を咲かせます。
冬場は地上部が枯れますが、氷点下でも根が生き残り、春に芽生えます。
株が混み合ってきたら掘り起こして株分けをします。

 

イグサ科(Juncus decipiens水生植物の育成方法

畳の材料としておなじみの植物です。
野生のものは栽培品種ほど伸びず、草丈は50cm程度にとどまります。

水深は0~10cm程度で、腰水栽培も可能です。
短いランナーを伸ばして増え、初夏にあまり目立たない花を咲かせます。
冬場も地上部が残ります。氷点下になる環境でも越冬可能です。
株が混み合ってきたら掘り起こして株分けをします。

Sagittaria trifolia 'Caerulea'水生植物の育成方法

正月の食材としておなじみ。素揚げにして食べるととてもおいしいです。
大きめの容器で育てると草丈は80cm程度になりますが、小さな容器で小さく育てることも可能です。

水深は0~10cm程度で、腰水栽培も可能です。
土中に殖芽(クワイ)をつけて増えます。
氷点下になる環境でも越冬可能です。
春に生育開始する前にクワイを掘り起こして株分けします。年末に掘り起こしておせち料理にするのもよいでしょう。

ミズアオイ科(Pontederia cordata水生植物の育成方法

紫のきれいな花を夏に長い期間咲かせます。
大きめの容器で育てると草丈は60cm程度になります。
根張りがすごく、他の植物と同じ鉢に植えると他の植物はほとんど育たなくなります。

水深は0~10cm程度で、腰水栽培も可能です。
根茎が伸びて増殖します。
氷点下になる環境でもそのまま屋外で越冬可能です。
根張りがすごいため、毎年植え替え推奨です。

ミズアオイ科(Monochoria korsakowii水生植物の育成方法

夏の終わりごろから開花する一年草です。
大きめの容器で育てると草丈は50cm程度になります。

水深は0~10cm程度で、腰水栽培も可能です。
冬は種子を残して親株は枯死します。
とても小さな種子を翌年まくとたくさん発芽してきます。
肥料を与えず小さく育てることも可能です。

オモダカ科(Caldesia parnassiifolia水生植物の育成方法

夏に開花する一年草です。
水深が深いと立葉を出さず、浮葉のみで成長開花します。
殖芽を残して越冬します。

水深は0~10cm程度がよいですが、深くして浮葉植物としての育成も可能です。腰水栽培も可能です。
冬は殖芽を残して親株は枯死します。

オオバコ科(Trapella sinensis水生植物の育成方法

夏に開花する一年草です。
浮葉を出して浮草のように成長しますが、根は土中につながっています。

水深は20~40cm程度がよいですが、基本的に水面に広がるため、あまり水深にはこだわりません。
冬は種子を残して親株は枯死します。

レースソウ科(Aponogeton distachyos水生植物の育成方法

ミズサンザシやキボウホウヒルムシロなどともよばれます。
水温の下がる10~5月に生育・開花します。
スイレンと逆の時期に咲くため、冬のビオトープを賑やかにしてくれます。
 

水深は20~40cm程度がよいでしょう。
生育開始する秋と、水温の上がり始める春に追肥を行います。
夏は根を残して越夏します。
株分かれをしないため、追肥を行えば植え替えずに複数年の育成が可能です。
種子で増殖します。

ミソハギ科(Trapa japonica水生植物の育成方法

夏に開花する一年草です。
浮葉を出して浮草のように成長しますが、根は土中につながっています。
根が切れて、浮草として漂わせても問題なく開花結実します。

水深は20~60cm程度がよいですが、基本的に水面に広がるため、あまり水深にはこだわりません。
冬は種子を残して親株は枯死します。実を食用とすることも可能です。

ミソハギ科(Trapa incisa水生植物の育成方法

夏に開花する一年草です。
ヒシに比べると小型ですが、性質や栽培方法はほとんど同じです。
浮葉を出して浮草のように成長しますが、根は土中につながっています。
根が切れて、浮草として漂わせても問題なく開花結実します。

水深は20~60cm程度がよいですが、基本的に水面に広がるため、あまり水深にはこだわりません。
冬は種子を残して親株は枯死します。実を食用とすることも可能です。

トチカガミ科(Hydrocharis dubia水生植物の育成方法

晩夏に開花する一年草です。
浮草として漂い、ランナーで増えていきます。根が伸びて土中に達することもよくあります。

浮草のため、水深にはこだわりません。
冬は殖芽を残して親株は枯死します。

ミソハギ科(Rotara rotundifolia水生植物の育成方法

ロタラ・ロトンディフォリアとして水草水槽でよく育成されますが、屋外のビオトープでも用意に育成可能です。
初夏に小さな花を咲かせます。

水中では水面を目指して立ち上がりますが、水上では匍匐します。
冬は水上部分は枯れる事が多いですが、水中に残った部分が越冬し、春になると生育を開始します。

Rotara rotundifolia 'green'水生植物の育成方法

ロタラ・ロトンディフォリアの変種とされます。
水草水槽でよく育成されますが、屋外のビオトープでも用意に育成可能です。
初夏に小さな花を咲かせます。

水中では水面を目指して立ち上がりますが、水上では匍匐します。
冬は水上部分は枯れる事が多いですが、水中に残った部分が越冬し、春になると生育を開始します。

オオバコ科(Bacopa caroliniana水生植物の育成方法

水草水槽でよく育成されますが、屋外のビオトープで容易に育成可能です。
春から秋に小さな花を咲かせます。

水中では水面を目指して立ち上がりますが、水上では匍匐します。
冬は水上部分は枯れる事が多いですが、水中に残った部分が越冬し、春になると生育を開始します。

ヒルムシロ科(Potamogeton malaianus水生植物の育成方法

夏にとても地味な花を咲かせます。
水中葉の葉脈がとても美しい水草です。
地下茎を伸ばして増殖します。
冬は地下茎で越冬します。
 

Echinodorus sp. 'Fancy Twist'水生植物の育成方法

葉がすこしねじれて生育します。
室内で水草水槽のセンタープランツとしても使えます。

屋外では腰水栽培が容易です。
氷点下になるような環境であっても、根を残して越冬します。

エキノドルス・フランスストフェルス

赤く入る葉脈が美しい水草です。
室内で水草水槽のセンタープランツとしても使えます。

屋外では腰水栽培が容易です。
氷点下になるような環境であっても、根を残して越冬します。